旅行業を扱う企業で、営業所に必ず1人は配置しなければならない旅行業務取扱管理者には、国内と総合の2種類があります。
総合旅行業務取扱管理者:国内のみならず海外旅行にも適応
国内旅行業務取扱管理者の試験は全国旅行業協会(ANTA)、総合旅行業務取扱管理者の試験は日本旅行業協会(JATA)が執り行っており、それぞれ年に1回試験が実施されます。
国内旅行業務取扱管理者の試験を先に受けて合格してから、総合の方にチャレンジする人が多いのですが、この場合、総合旅行業務取扱管理者の試験の一部が免除されることがあります。
また、一度不合格となった人も一部免除の対象となることがあります。
この記事ではこれから受験を考えている方に、免除の条件や有効期限についてご説明します。
総合旅行業務取扱管理者の試験免除とはどのようなものか
総合旅行業務取扱管理者の試験には、
② 約款
③ 国内旅行実務
④ 海外旅行実務
以上の4つの試験科目があります。
国内旅行業務取扱管理者の試験にすでに合格していたり、総合旅行業務取扱管理者の試験に不合格であっても前年度に合格点を取った科目がある場合は、受験科目の一部が免除されます。
免除の対象となる条件
総合旅行業務取扱管理者の試験科目一部免除は、下記の4つ条件のうちのいずれか、または複数に当てはまる人が対象となります。
・国内旅行業務取扱管理者の試験に合格し、資格を持っている
→旅行業法、国内旅行実務が免除されます。
・前年度・今年度総合旅行業務取扱管理者研修での「海外旅行実務」を修了している
→海外旅行実務が免除されます。
・前年度・今年度総合旅行業務取扱管理者研修での「国内旅行実務」を修了している
→国内旅行実務が免除されます。
・前年度の試験が不合格だったものの「国内旅行実務」と「海外旅行実務」のいずれか、または2つとも合格した
→前年度の試験で合格した科目が免除されます。
どれかひとつだけに当てはまる場合は、書かれている通りの科目が免除されますが、複数に当てはまっている場合は、その両方の科目が免除されます。
例えば、国内旅行業務取扱管理者の資格を既に持っており、前年度の試験で「海外旅行実務」の試験では合格したものの不合格だったという場合は、旅行業法、国内旅行実務、海外旅行実務の3科目が免除され、約款のみが試験科目となります。
有効期限
免除が適用される有効期限については、国内旅行業務取扱管理者の有資格者については当然有資格者なので無期限です。
国内旅行業務取扱管理者は更新制の資格ではなく、一度取得すれば半永久的に有効となるため、この資格を持っていれば有効期限なく、旅行業法と国内旅行業務の2科目は免除となります。
有効期限が発生するケースは、研修と、前年度試験不合格者の場合に限ります。
研修においては、「前年度・今年度」という縛りがあるため、前年度の研修までが有効とされます。
試験においては、前年度の試験のみが適用されるため、2年前に受けた試験の結果は加味されません。
有利になるポイント
一部の試験科目免除が適応されるのは、非常に有利なポイントとなります。
当たり前の話ではありますが、その科目の勉強をする必要がないためです。
試験内容は、当然毎年変わります。
試験科目が免除されなければ、また一から勉強をしなおして、試験に備えなければなりませんが、試験科目の一部が免除されていればその科目は勉強する必要がないため、試験科目だけに集中することができます。
準備に使う時間の全てを必要な科目のみに費やせるため、より深く勉強することができます。
そのため、合格率もぐっと上がります。
注意点
総合旅行業務取扱管理者の試験における科目免除制度に関しては、ひとつ注意しなければならない点があります。
それは、国内旅行業務取扱管理者の試験と、総合旅行業務取扱管理者の試験は相互性が無いという点です。
端的に言ってしまえば、前年度の国内旅行業務取扱管理者の試験で「国内旅行業務」が合格だったからといって、翌年の総合旅行業務取扱管理者の試験での「国内旅行業務」が免除になるということはない、ということです。
もちろん国内旅行業務取扱管理者の試験に合格し、有資格者となっていれば「国内旅行業務」は免除の対象となりますが、前年度に科目だけ合格して試験そのものには残念ながら落ちてしまった場合には、総合旅行業務取扱管理者の試験で当該科目は免除されません。
まとめ
総合旅行業務取扱管理者の試験で一部の受験科目が免除される条件や有効期限について解説しました。
総合旅行業務取扱管理者の合格率は約30%と決して高くありません。
海外旅行も国内旅行もどちらも網羅したいからという理由で、いきなり総合旅行業務取扱管理者の試験を受けようと考える方も少なくないようですが、国内旅行業務取扱管理者の資格を持っていれば受験科目が半分に減り、約款と海外旅行業務の勉強に集中できるため合格率を上げることができます。
「急がば回れ」という言葉もありますが、一発合格を目指して無謀なチャレンジに挑むのではなく、回数を分けて着実に合格を目指すのもひとつの手でしょう。